教組の花嫁
 
 小波をひとりぼっちにしてご免ね。


 小波を守ってやれないでご免ね。


 小波の花嫁姿を見る事が出来なくてご免ね。


 小波ご免ね。ご免ね。ご免ね。

 弱い母さんで。本当にご免ね。



 母さんを許しておくれ。
 母さんはいつもお前を見守っているからね。


 大好きな小波へ

            紗代


         


 母の遺書には、母の涙の後なのか、所々便箋がしわしわになっていた。


 小波は遺書を読んで涙が止まらなかったのを、今もはっきりと記憶している。


 小波はそれから叔父に引き取られ、東京で暮らすようになったのだ。





 
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