教組の花嫁
「百合葉~百合葉~」
ほのかがマスコミの連中に聞こえるような大きな声を上げた。
「しっかりしいや~」
「百合葉~」
ほのかが、猫背になりながら患者搬送ベッドの横を小走りでついて行く。
マスコミから顔を見られないように、ほのかは百合葉の顔を見て悲壮な声を上げている。
「百合葉~」
「大丈夫か~」
「もうちょっとの辛抱やで」
その時、マスコミの中のひとりが走って来て、患者役の百合葉の顔を覗き込んだ。そして、皆に向かって、手を左右に振って、ほのかじゃないというしぐさをした。