眠り姫の唇



妙な事は、金曜日の夜に起こった。


珍しく定時に終わって、瑠香はまだ暗くならない内に帰れた。


携帯を放り出して、瑠香はのんびりテレビを見ながらちゃちゃっと作った親子丼をつついていた。


bububububububu…


携帯のバイブが鳴りだしたので、瑠香はおもむろにテレビの電源を切る。


電話だ。


パカッと開いて瑠香は少し目を見開いた。


“岩城 修一郎”


驚いた。


海外でも繋がるのか。


岩城がロスに行ってからというのも、お互いメールすら連絡を取り合っていなかった。


瑠香は元から岩城にほとんどメールしないし、岩城も岩城で用事がないかぎりあまりメールしてこない。


今回もなんとなく海外だからとか、具体的な用事はないからとか思って、別に気にはしていなかった。


むしろ、優しい笑顔で出て行った岩城の顔を思い出して少し優しい気持ちになっていたぐらいだ。


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