眠り姫の唇


熱い。


クーラーを付けてキャミソールと短パンに着替える。


洗濯機を回して、何気なく冷蔵庫を開けた。

初めの頃とは比べものにならないぐらい食材がつまっている。
それと反比例するように瑠香の自宅の冷蔵庫はスカスカになっていくのだが。


5日も開けてなかったのだ。

傷みかけてるのからさばいていこう。

といっても、岩城の出張が分かった時点で腐りやすそうなものは全部使ったので、野菜っ気がほとんどない。


どうしようかなーと、ふと隣をみると、箱が台所の上に置いてあった。


「?」


パタンと冷蔵庫を閉め、それに近付く。



良く見ると、熱くても溶けないタイプのチョコレートの箱にメモ書きが添えられていた。


瑠香はおもむろに紙を手に取る。


「……ふっ。」



“寂しくなったのか?ガキはこれでも食べて待っとけ。”



岩城の、ため息をつきながら微笑む様子を想像して瑠香は自然と笑顔になった。


いつ置いたんだろう。


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