眠り姫の唇
まさか服を着たままするなんて。
信じられない。
全裸になるよりヤらしく見えるその行為に、終わった後散々瑠香は抗議した。
それに岩城は平然と答えたのだ。
“そんなヤらしい格好で誘ってきた瑠香が悪い。”
「(誰も誘ってません!)」
またそれを思い出してプンスカ歩く瑠香に、岩城はこっそりため息をついた。
そもそも帰ってくるなんて知らなかったのにどう誘うというのか。
それを知っていたらちゃんと服ぐらい着ていたのに…!
ノーブラで寝ていた自分を呪う。
「…悪かった。」
「……。」
そういってすっと伸ばされた手のひらに、自分の右手が捕まる。
「……。」
「…嬉しかったんだよ。帰ってきたら、瑠香がいた。それで…止まらなくなった。」
「…。」
「すまん。」
申し訳なさそうに呟く男の手を振り払わず、瑠香はそっと岩城を見上げた。
「……ふぅ。もういいです。私も怒りすぎました。すいません。…それに、」
「…?」
「私も嬉しかったです。岩城さんが帰ってきてくれて…。」
それだけ言うと、恥ずかしそうにぷいっと瑠香は顔を背けた。
耳がやたら赤い。
それを見つけて岩城は嬉しそうに微笑む。