眠り姫の唇
「さ、さぁ!早くスーパーに行きましょう!岩城さん今日何食べたいですか?」
「え、瑠…「そういうのはナシです。」
「じゃあ、カレー。」
「カレー?分かりました。そんな簡単なのでいいんですか?せっかく日本に帰ってきたのに。」
「ああ、カレーがいい。甘口の奴。」
「ぶはっ、甘口でいいんですか?甘いの苦手なのに、変なの。」
「カレーは基本辛いだろ。」
「そうですけど、…ふふっ」
夕焼けの空を二人で見上げながら、瑠香はなんか幸せだなぁと思った。
この幸せが、手のひらから隣の男に伝わればいいのに。
口に出しても伝わらない、この言葉にし難い幸せを。
瑠香は夕日に目を向けたまま言った。
「岩城さん。」
「ん?」
「おかえりなさい。」
隣で岩城が微笑んだような気がした。