眠り姫の唇


「そーだけど!でもやっぱり気になるじゃない!」


相当意気込んで来てくれたのであろう。


拍子抜けしたような顔で、机に手を付いている。



「物は持ってきてるんでしょ?!」


「え、まあ、一応…。」


「見 せ て!」


リサの気迫に負けて、昨日入れたままにしていた例のものをおずおずと差し出す。


こんなもの昼間っから見たくないのだが。


仕切がある店で本当に良かったと瑠香は思った。


それを興味津々で見比べるリサ。


「うわ、ホントだ。口紅べったり。この色シャネルっぽいね。」


リサの観察力に感動しながら、お茶をすする。



「…んーー…。あ。」



じりじり焦げるんじゃないかと思うぐらいそれを睨んでいたリサが、何かに気付いたように声を出した。



「うん。瑠香が正しいかも。」


「へ?」


「瑠香の女の勘も捨てたもんじゃなかったわね。」


にっこり笑ってリサが瑠香を見る。


「ここ、ほら、よくみて。」




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