眠り姫の唇


「本当に素敵でしたね……。」


ほんわりと夢みるように瑠香は呟く。


それに岩城は笑いながら、ああ、と応えた。


係の人達からクラッカーやハート型をした風船やらがランダムに配られる。


明るいチャペルの前で、二人を待つ。


雲一つ無い晴天だ。


たぶん神様も祝福している。



みんなそわそわしながら手に持ったものを見つめたり、隣通しで喋ったりしている。


瑠香も渡された赤いハート型の風船を見つめた。


係の人が笑顔でどのタイミングで飛ばすのか説明してくれている。


隣の岩城が渡されたのは、ライスシャワーだった。



「…なんで米なんか投げるんだ。」


不可解そうに岩城が眉間にシワを寄せる。


瑠香はおかしそうに笑った。



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