眠り姫の唇
【番外編】

◆結婚式の後◆


「やぁっ…ちょ、服にシワが…」


「今から脱がせてやる。」


そういう問題ではない。


セットした髪もそのままだし、前川の式の為に手に入れた黒と白のパーティードレスはシワになりそうだし、本当にこの狼男、どうにかしてやろうか。


結婚式から帰ってきて、何故にいきなり押し倒されなければならない。


「っ…痛ぃっ」


「ん?大丈夫か?」


髪をアップするために付けていたヘアピンがシーツに擦れて頭皮に当たる。


瑠香は岩城を睨みながら、無理やり体を起こした。


「だから待ってっていったじゃないですか。」


両腕を上げながら、器用に一本一本ヘアピンを外して行く。


ベージュのコサージュも外し、隠れていたヘアゴムをファサッと外した。


適当に髪を手ぐしでといて、首だけで岩城を振り返る。



「もうついてないですか?」


「…もう一回髪上げろ。」


「?はい。」


そこまで長くない髪を全体的に持ち上げ、瑠香はまた振り返る。


「こうですか?」


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