痛み 【密フェチ】
『いッ…!』

ハッとして我に帰り
振り向いて彼を見ると
手首を捻ったのか、
無造作に手を振っている


『大丈夫、ごめんな…』


その一言で、気付く


そう
打たれた私も痛いが
打っている彼も痛いのだ


額から滴れ落ちる汗を拭い、
私の頬を優しく撫でる


込み上げる愛おしさ…

いつだって、この人は
私と痛みを共にしてくれていたのだ


私は…
何に囚われていたのだろう?

この人は、今、
私の目の前にいてくれる

それが全て

それで充分…


堪えきれず、彼の首にしがみつくと
応じるように、私の腰に両腕を回し
きつく抱きしめてくれた


『ねぇ…もっと打って…』

そっと耳元で囁いた
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