恋涙

「とりあえず、そんな話を聞いておいて一人で帰すのは心配だから今日は家まで送ってく。」


先生はカバンから車のカギを取り出した。


「え、いいよ。大丈夫だから。」


「いや、だめだ。」


先生は絶対譲らない。


だけど、こうやって迷惑かけるから言いたくなかったんだ。

ただでさえ、私は先生の担当の生徒じゃないのに受験の世話をしてもらってる。


これ以上迷惑はかけたくない。



「今日は幼なじみが迎えにきてくれる約束ですから!」


とっさについた嘘だった。



だけど先生はそれを聞いて安心して「そうか。」とだけ言った。





本当は助けてほしいのに、「助けて」と言えないのがもどかしかった。



怖くて怖くてたまらないのに・・・



そう思うと悲しくて涙が止まらなかった。




学校の帰りが怖かった。


待ち伏せされて、無言で予備校までついてこられたこともあった。



受ける大学のことも知っていた。















< 204 / 366 >

この作品をシェア

pagetop