teacher's paradise 。




そのとき、私が教科書を忘れた事に気づいた音楽の先生が駆け寄って来た。




「忘れちゃった?」




「はい…、すみません…。」




素直に謝った方が、ここは怒られないかもしれない。と思った私は自然に謝った。




「僕の、見ていいよ。」




私の机の上に教科書が丁寧に置かれた。




「いいんですか?」




先生に問うと、笑顔で頷いた。け




、私が使ってしまったら、先生が見る教科書がなくなってしまうのでは…。




「心配しなくていいんだよ?」




なんて紳士さんな先生なのだろうか。




「分からない所とかある?」




実はリコ-ダ-がとても苦手。




指は廻らないし、高い音なんてまったく出ないし前の学校でも怒られた記憶しかない。




「私、リコ-ダ-が全然吹けないんです…。」




「リコ-ダ-かぁ…。音楽の先生ながら僕もあんまり好きではないんだよね…(笑)」




なんてあははと笑う先生。




すると先生は、後ろから腕をまわして私の指を握った。




暖かくて、優しい大きな手。




すっごくドキドキした。




「僕の指を真似してみて?」




後ろから覗き込む先生は、まさに紳士さんだった-…




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