teacher's paradise 。
Ⅰ - 枝野 祐 ver

└ スマイル・サウンド





私は、2年生の6月半ば頃の夏間近に新橋高等学校に転校してきた。




「じゃぁ、自己紹介お願いします。」




担任教師がそう私を突き放すと、周りの視線が一気にこちらに集まった。




あぁ-…私、人前に立つの苦手なのに。




し-んとした場の空気と、緊張感漂う教室に窓の外で飛んでいる飛行機のエンジン音だけが響き渡る。




「ほ、保稀 妹です…。宜しくお願いします…///」




い、言えた-っ。




「保稀さんの席は1番後ろの左から2番目の空いてる席だから-…」




無事HRも終了し、この学校に来て初めての授業が1時間目の音楽だった。




ガラッ-…。




教室へ入って来た音楽の先生は、右斜に分けられた黒髪で優しい顔立ちの綺麗な男の先生。




「は-い、1時間目始めますよ~」




すると私をチラッと見て、ニコッと笑った。なんて笑顔が素敵な人なんだろうか。




周りの女子もそりゃ騒がないはずがなく、きゃ-きゃ-と黄色い歓声が上がる。




「今日は、教科書27ページの、ディズニ-メドレ-をリコ-ダ-で吹きますので開いて下さい?」




あ、音楽の教科書がない…。




忘れたんだ-…。




転校初日にやらかしたな…。




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