こちらミクモ探偵事務所5

紘子は苦笑いを浮かべる。
羽兎も笑い返した。

この時間がもったいない気がする。
紘哉は口を開いた。

「取り敢えず、この家の家族構成を教えてほしい。何にも説明されずに連れてこられたから、全く分からない」

「あー、はいはい。
まずはお父さんの新井信夫。今日は家にいるから、後で会いに行こうか」

「そうだな。一応、挨拶くらいはしておきたい」

「ダメだっ!!それは俺が許さないっ!!」

今まで横たわっていた恵一が体をガバッと起こす。
羽兎は飛び上がり、紘哉は冷めた目で恵一を見た。

「お前が行くと、絶対に挨拶程度で済まなくなる!!どうせイチゴのセールスマンの事について訊くつもりだろ?」

「だから何だよ」

「それじゃあ、見張りの意味が無くなる!!」

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