こちらミクモ探偵事務所5

その近くには、書類が山積みになったデスクが置いてある。
その反対側には本棚が。

「ここに布団敷いたら、普通に暮らせるよな」

「……だな」

周りを見回しながら、二人に白い手袋を渡す恵一。
紘哉はそれを受け取ると、本棚へと近付いた。

対して、羽兎は死体を縁取ったロープに近付く。
その目は、どこか輝いていた。

「はぁ……何かこの感じ、凄い久々」

うっとりとしているような、甘ったるい声。
紘哉は眉を寄せ、羽兎の方を振り向いた。

「……お前どうした」

「え、何言ってるの紘哉さん!血だよ?血液!すごくない?」

「……」

また始まった。
血液を見ると興奮するという、不謹慎であり異常な性格。
羽兎の悪い癖だ。

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