恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
颯平にも聞いてみた。
夢があるのかって。
すると、恥ずかしそうに笑顔を零して答えてくれたんだ。
「親父のような警察官になりたいんだ」って、目を輝かせながら。
優美だけでなく颯平までもが夢を持っていた、そのことに衝撃が走った。
部活にしても夢にしても、颯平のこと知らないことが多くて、何かに熱中したり夢を語ったりする姿が羨ましくなった。
私は部活を続けようって気持ちはこれっぽっちもないし、夢もないし、勉強するしか取り柄は残っていない。
我ながら単純な思考だとは思うけど、バイトして働いて今までとはまったく違う社会に触れることで、何かを見つけられるかもしれないって。
そんな素直な思いを両親にぶつけた。
「……おーい、紗夜香?」
「えっ?」
「どうしたの? 突然ボーッとしちゃって」
「あっ、ううん。何でもない」
このことは香里奈に言えない。
羨ましいだなんて感情を表になんて出せない。
プライドという塊が言葉にすることを阻止してしまう。
フゥーと一息ついた私は話の続きをすることにした。
私の必死の思いが伝わったのかバイトを許してくれた両親だけど、代わりに三つの条件を出してきたことを。