君と、秘密の神隠し





初めて聞いたはずの声なのに、「違うよ」と否定するもう一人の自分がいる。



待ちわびていた声だと、そう叫んでいる。
けれど、鈍器で殴られたような頭痛が走って、立つこともままならなくなる。
一体、誰なの?!


選ばれたとか、意味のわからないことを言わないで、この痛みを振り払って欲しい。



あぁ、そうか。
もしかして弘樹のいじわる?
そうなんでしょ?
でてきなよ、と期待半分で、汗が吹き出る額を押さえながら顔をあげる。



早く、早く。
弘樹がでてきてくれないと、この頭痛が治まらないような気がするの。



『リリカ。おいで?』



燃えるような熱い身体に、冷たい空気が肌を掠めた。
その瞬間、もの凄い風が身体を包む。
その風で髪が靡き、汗ばんだ額にくっつく。



その隙間から見えた光景に、あたしは目を見開いた。




ブラックホールのような穴が壁にでてきており、全てを吸い込まんとばかりの凄まじい風。
その穴の奥には、美しい星が散りばめられており、キラキラと光っている。



宇宙ではない。
だって、そこにはたくさんの雲が地面になっていて・・・。


まるで”天国”




そう思わずにはいられない。








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