君と、秘密の神隠し
「い、いや!!」
思わず叫ぶけれど、一向におさまらない風は、私の身体を徐々に引きずり込んでいく。
なんともいえない恐怖心に、震える。
藍色が含まれた、複雑な色。
その色に、染まってしまいそうだ。
『やっと会えた』
また綺麗な、透き通った声が頭の中で響く。
弘樹じゃない。
この声は、弘樹じゃない。
いたずらにしては手が込んでるし、弘樹なはずがない。
弘樹じゃないことがわかって、更に恐怖心が増す。
段々とブラックホールのような穴に引きずり込まれそうになって、私は目を見開いた。
光を纏ったなにかが、私に近付いてきている。
優雅に、鹿を思い出させるしなやかな動きで。
金色(こんじき)に輝く美しい髪が、その真っ暗な空間に光を放っているのだ。
あまりに美しいその姿に、引きずり込まれていることすら忘れて、息を飲んだ。
伏し目がちな、髪と同じ輝く金色の瞳。
口角の上がった綺麗な唇。
筋の通った高い鼻。
焼けることを知らない、真っ白い肌。
中性的な顔は人間の域を超えていて、”ヒト”なのかと疑うほど。