ワケあり!
 買い物に行こうか。

 いいものが思い浮かばなくても、実際に何か見ていれば、しっくりくるものが見つかるかもしれない。

 誕生会の一週間前の土曜日。

 絹は、具体的な行動を起こすべく、出かけることにした。

 駅五つくらい遠出をすれば、欲しいものは大体何でも手に入るエリアがある。

 ボスに渡されているカードがあれば、とりあえず買い物には困らないだろう。

 ぽん。

 そうだ。

 絹は携帯を取り出して、メールを打ち始めた。

 起きてるかなぁ。

 時計を見ると10時。

 すぐにメールは返ってきた。

 起きていたようだ。

『(ρw-).。o○
おはよ…きぬさん~
~ヾ(゚ー^*) 』

 訂正――メールで起きたようだ。

 返信で、京の誕生日のプレゼントを買いに行くので、付き合って欲しいと告げる。

『行く!
 すぐしたくする!
(●^o^●)ノ』

 速攻のおこたえ。

 よし、末っ子釣れた。

 絹は、ガッツポーズした。

 ボスは、おそらくいま秘密部屋だが、メールは自動転送なので、このメールも見ているはずだ。

 またペンが活躍しそうだ。

 あの万年筆をつけていても、おかしくない服はないだろうか。

 出かけるために、部屋のクローゼットを漁り出した。

 そういえば。

 週末に学校外で、広井ブラザーズに会うのは初めてだ。

 その相手が、了というところが、可愛らしい選択だったが。

 メールがもう一度鳴った。

『車空いてた!
 家まで迎えに行くよ
(*^ー゚)b』

 あらら。

 電車での移動の予定が、地球に優しくない方向に変わったようだ。

 まあ、どうせこの星は、ボスの気分次第で壊されるものだし、いっか。

 絹は怖いことを考えながら、準備を続けたのだった。
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