†箱庭†~ブロックルーム『1229』~
その後は、ダッシュで家へと帰ってきた。
呆然と立ち尽くしていたエースは「本気なんだけど」と叫んでいたが、そんな言葉を真に受けるほど私もばかじゃない。
ただ、エースの切なそうな顔には少しだけときめいてしまった。
そういえば、夢の中の人にも胸に痛みを感じたっけ……


正夢?デジャブ?

いろんな事が頭をまわっていたが、前夜あまり寝ていなかったせいか愛羅は制服のまま眠りについてしまった。




「もしもぉし。おっ藍ちゃん?おい。話違ったんだけど。」

髪を邪魔そうにかきあげる少年は、暗い部屋の中膝を抱える。

『え?もしかして告白したんですかい?』

電話の相手は、楽しそうな口調で返す。

「それ以前の問題だったぞ。仕舞にはビンタまでくらった。」

『うっわ。あの子らしいね。じゃぁ新田君の気持ちは伝えてないんだ?』

「つい…一緒に帰ることに舞い上がっちゃって、いつもの軽い誘いをしちまった……かも……。」
電話の相手は、しばし笑い『がんばりたまえ』と電話を切った。



「女に相談するなんてかっこわりぃ…。」

少年はまた邪魔な髪を右手でかきあげ、天井を見上げながら愛おしい人を想う。
< 40 / 43 >

この作品をシェア

pagetop