アクセサリー
 お誘いのメールだ。
 彩乃のテンションが一段階上がる。
「やった……」
 飛び上るほどうれしいという表現があるが、彩乃は実際に飛び上がって喜んだ。
昨日の晩から、隆一のことばかり考えていた。
 また会いたい、すぐに会いたい。今度は、いつ会えるのだろう。このまま会えないのかもしれない。
 もう二度と会えないのではないか、という悪い方へ考えて、どんどん弱気になってしまったり。もしかしたら「好きだ」と告白してくれるのではないか、と良い方へ考えて、いやいや、そんな上手くはいかないんじゃない……、と突飛な考えを自制してみたり。
 そんなとき、告白のメールではないにせよ、次へつながるメールが届いたのだ。
思いっきりガッツポーズをした。なんといってもお誘いのメールだ。もしかしたら少し好感を持ってくれたのかもしれない。

 今日は十月二十五日、木曜。十一月一日は一週間後だ。その日は何だっけな? とカレンダーを見ると、バイトが入っていた。
そう言えば、先週、店長からバイトの応援を頼まれたのだ。そのときは予定などなかったわけだから、快く引き受けたのだが、事情は変わった。休まないといけない。
 休めるかな?
 いや、休むのだ。一度、引き受けた仕事を断るのは性に合わないけれど、ケースバイケース。ふだんのマジメな就業態度に免じて、なんとかしてもらおう。
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