アクセサリー
 件名「なし」           10/26 23:20  
 まだ、お楽しみ中だったらごめんね☆
ね、どうなの? うまくいった? 今日の感想はしっかり報告してもらうからね! 私にできることならなんでもしてあげるからね! 

 直美のメールを見て少し笑みがこぼれた。
 自分には直美という理解者がいる。彩乃はそれがうれしかった。
母から少し邪険に扱われたって平気。もうすぐ十九になるし。それに十九は大人みたいなものだから。
 少し憂鬱な気持ちが晴れた彩乃は直美にメールを打った。

 件名「報告」           10/26 23:28  
 私は今、帰ったところだよ。
 隆一君っていう好きな人とドナで食事しました。話は弾んだと思うんだけど、なんかもう一息たりないみたい。直美が協力してくれるって言ってくれて、うれしい☆ 詳しいことはまたあらためて連絡するね。

 彩乃はメールを送信して、携帯を閉じて机の上に置く。お風呂に入ろうとしていると、携帯が鳴りだす。直美から電話がかかってきた。
「もしもし……、直美?」
「何が〝あらためて連絡するね〟よ!」
「でも……」
 突然のことに彩乃は口ごもる。
「〝でも〟も〝パレード〟もないの! 今やるのよ。思い立った吉日っていうでしょ?」
 直美は強めの早口でまくしたてる。
「……あの」
「さっさ、詳しく報告しなさい」
 直美の勢いに勝つことは無理だ。彩乃は観念して詳しく報告することにした。強引に押し切れば、相手にその気がなくてもOKが出るんだな、と身を持って感じた。

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