アクセサリー
10
「全然眠くない……よな?」
「昼まで寝てたんでしょ? トモヒロさんは」
 玄太郎は少し眠いようだ。
「ああ、寝てたさ」
十一月一日、午前二時半。
 今日はオールナイトでバンド練習をしている。午前中は使用する教室の装飾と機材のセッティングをした。その後はゴリメタルのバンドと簡単な打ち合わせ。その後は一度帰り、午後十時から午前六時まで中野サンプラザのスタジオを借りたのだ。
「もういっちょ、そこだけやってみよう」
 トモヒロさんが指示を出す。今までは時間に追われるように練習していたが、余裕を持って納得がいくまで練習に時間を費やせた。オールナイトの練習は経済的に何度もできるものでないが、隆一たちは充実した時間を過ごせた。
 隆一は時計に目をやる。もう五時四十分。
 八時間は思ったよりも長くなかったな……。
 隆一はそう思った。本番直前の興奮のためか眠気も感じなかった。最初眠そうだった玄太郎もドラムを叩きだすと眠気は吹きとんでいた。

十一月一日、午前六時。
「朝飯は……、マックにしようぜ」
 スタジオを出た隆一たちは、徳さんの提案によりマクドナルドで朝食をとることにした。
 隆一はホットケーキとコーヒーを注文する。ブラックコーヒーの苦みがぼうっとした頭に冴えわたるように感じた。
「フィレオフィッシュとソーセージマフェンと……」
 玄太郎は朝からよく食べる。
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