アクセサリー
 じゃあねー、というふうに手をふって消える玄太郎に彩乃は頭を下げて見送った。
 ほぼ初対面でもこんなにフランクに話しするんだ……。隆一といい、玄太郎といい大学生はみんなフランクなのだろうか? いや、バンドをやってる人がそうなのかも? 彩乃は小さくなる玄太郎を見ながら考えた。
「誰? 今の?」
 直美の声がする。振り向くと、いつの間にか南門に直美が到着していた。
「ああ、今のは何ていうか? そんな知らないんだけど……、隆一と一緒にバンドやってる人」
「へええ、なんか因縁つけられてんのかな? もしくはナンパ? って思っちゃって。怖そうだし」
「全然怖い人じゃないの」
 玄太郎の第一印象は直美に対してもよくなかったようだ。人は見た目の何割? っていう本もあるぐらいだし。しかし、前回のイメージとは違い、実際に話してみて彩乃は玄太郎に好感を持った。人は見かけによらないようだ。
 「いろんな交流があるね」
腕組みをしながらそう言う直美は、ベージュのジャケットに黒のカットソー、黒のショートパンツにブラウンのブーツを履いていた。なかなか似合っている。
 直美はまじまじと彩乃を眺めた。 
「彩乃、すごいかわいいじゃん」
 直美が笑顔で言った。
「本当? 直美もすごい大人っぽいよ」
 彩乃は照れくさくなった。
「これで隆一君もほれるよ! いい感じじゃん!」
「ありがとう」
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