アクセサリー
15
 彩乃は隆一に褒めてもらったことがとてもうれしかった。直美のアドバイスにあらためて感謝した。
 バイト先の店長からも、明るくなった、きれいになったと言われる。そんな言葉を聞くたびにもっと明るくなろう、きれいになろう、とがんばる気持ちがわいてくる。
 彩乃の体のなかに実は車輪があって、今までは錆びて止まっていた。それが今はぐるぐる心地よいスピードで回っているような気がする。このまま何もかもがうまく行きくのではないか、胸がわくわく希望で膨らんだ。
 何を見たって、人ごとに思えない。街角に咲く花も、鳥のさえずりも、世界がこんなに素晴らしいものだったのか、と一つひとつ確認したなら、毎日新しい発見があるのだ。

 
「あのね、話しておきたいことがあるの」
彩乃は両親にも門限のことで話し合った。彩乃はまだ確かに十八で両親の経済的援助のもとで生活している。しかし、恋路の弊害になってしまう門限は見直してほしい。
 彩乃が両親にそう告げると、予想に反して、反発は少なかった。事前に連絡するならば、認めてくれるようだ。毎日毎晩外出するようなら考えるが、そうでないなら自己責任のもとで判断してもいいと。
「ありがとう!」
 彩乃は心からそう言った。うれしくなって自分の部屋へ駆け上がった。
 なぜこんなにすんなり了承が出たのだろう、と考える。それは今までに両親と話し合ったことがなかったからだろう。だから両親の一方的に決めた門限に何も言わなかったのだ。第一に門限を破るような出来事が今までにあまりなかったこともあるが。

 門限の問題は解決した。
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