アクセサリー
 直美の話だと、そろそろどこかに誘われるかもしれない。そうなったらどうしよう。また新しい洋服を買わないといけない。今までマジメにバイトをやってきてもそれほど、使うこともなかったので、貯金はけっこうある。直美に付き合ってもらって買い物に行こう。そんなことを考えると気分が弾む。
 恋はなんと楽しいものだろう。色彩豊かな日々がこのまま続いてほしい。永遠などないことは分かっているが、永遠を信じてみたくなる。
新しくまた隆一と何かしたいところだ。
 学園祭も終わり、大学は通常授業に戻る。少なくとも水曜には授業で隆一に会える。一日のライブのあとに隆一に向けてメールを送ったのだが返信はまだない。隆一は返信が遅いから、もう少し待っていればくるかもしれないと思っていた。でも今日は五日だ。おそらくもう返信はないだろう。でも、七日には隆一に会える。その間に電話やメールをしたらよいのだろうが、どんなことを送っていいか分からない。
 もう少しでうまくいきそうな予感がする。

 七日。
四限の「英語コミュニケーション」の教室へ向かう。いつもなら教室へ向かう途中で隆一と会ったり、教室に入ると先に隆一が座っているのだ。
 しかし、そこは空席だった。
「あれ?」
いつも座っているはずの隆一はいない。だいたい授業に出席している隆一にとっては珍しいことだ。
「遅れるのかな……」
今日に限って遅れてくるのだろうか。体調でも悪くなったのだろうか。せっかく今日は黒のキャミソールにボレロ、グレンチェックのスカートで来たのに……。また褒めてもらいたかったので、残念だ。それから美容院に行って、巻き髪をあててきた。自分で見ても大人っぽくなったように感じる。隆一に見てもらいたかった。
 気の抜けたように「英語コミュニケーション」の時間が過ぎていく。
 授業後、電話をしてみることにした。電話をするのは少し勇気がいるが、もし体調を崩しているとしたら大変だ。
 
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