身代わり王女に花嫁教育、始めます!
カリムの言葉を聞いた瞬間、リーンは声を上げる。


「まあ、すごいわ! あなたたちは陛下に従わなくてよいのね。なら、わたくし以上だわ!」


レイラー王女であることを忘れた、リーンの素朴な発言だった。

だが、リーンはハッとして、


「あ、いえ、王女であるわたくしよりも、“砂漠の舟”は尊いのね、と。そう言いたかっただけです」


慌てて取り繕う。浮かれて、はしゃぎ過ぎてしまった。

反省しても遅いだろう。『陛下の命令をきくことがいやなのか』そんなふうに言われたら、なんと答えたらいいのか……。

リーンは少し困って、恐る恐るカリムを見上げた。

だが、カリムはリーンの言葉など聞いていなかったかのようだ。しっかりとリーンを抱きしめ、左足で速さを調節しながら、“砂漠の舟”はオアシスへと向かった。


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