身代わり王女に花嫁教育、始めます!
「ひとっ走り国境まで行って来る。お前の名を借りるぞ。戻るまで――よろしくお願いいたします、陛下」


サクルは白鷹シャーヒーンを空高く放つ。

愛馬に跨ると、熱砂の風に金色の髪を靡かせ、灼熱の砂漠に駆け出した。




十五の歳から戦に次ぐ戦で、女と戯れる暇などなかった。

側近らもそれを望み、彼は期待に応えてきたつもりだ。


無論、女を抱いたことがない、とは言わない。手ほどきと称して何人もの寡婦をはべらせた時期もある。

だが、それほどの快楽も得られなければ、愉快なものでもなかった。


そしてある時期から、ハーレムに若い娘を見かけるようになった。

数回、寝所に呼んだものの、全員が身体を固くして彼の指示を待つだけだ。彼女らが処女(アズラー)であることは明白だった。


クアルンの掟で処女を抱いたときは妻にしなければならない。王とはいえ、ハーレムでそれなりの地位を与え、恒久的に抱える義務が生じる。


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