身代わり王女に花嫁教育、始めます!
自分の意思で開くことはできても、触れられた瞬間、反射的に閉じてしまう。

それは頑張ってどうにかなることではないのだ。


「逆らうのか?」

「違います! わたしは……わたくしは、このような儀式は聞いておりません。こんな……とてもこんなこと」

「それはおかしいな。大公には私が直接お話申し上げたのだが」


カリムの言葉はリーンの心臓を鷲づかみにした。

それが事実なら、レイラー王女は知っていたのかもしれない。屈辱の儀式があることを知り、衛兵の手を取って逃げ出した可能性もある。

この先も、どんな辱めを受けるかわからない。

リーンは早々に降参し、カリムの慈悲に縋ることを考えつく。

だがそのとき、


「お父上はあなたに知らせなかったようだな。仕方がない、少し方法を変えよう――手を下ろしてもよい」


カリムの囁きにリーンは両手を下ろし、胸を撫で下ろした。だがそれは、彼女にとって最も屈辱的な結果をもたらすことになる。


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