身代わり王女に花嫁教育、始めます!
「名前だけは……あの、乗せていただけるのですか?」

「乗りたいのか?」

「それは……はい。昔、母が……いえ、母上の侍女から聞いたことがあります。その者は砂漠の民の血を引き、“砂漠の舟”に乗りオアシスに向かった、と。その話を聞き、わたくしもいつか乗りたいと夢見ておりました」


カリムは少し考え、リーンに尋ねた。


「あなたはその侍女の出身部族をご存じか?」

「いいえ。彼女は何も話しませんでした。わたくしは“砂漠の舟”の話を聞いただけで」

「では、“砂漠の舟”が何かも、全く知らぬのだな」

「……はい……あの、それが何か」


(この娘の純潔は、注意して奪う必要があるかもしれない。だが、いずれ手に入ると決まっているのだ。我慢もまた、悦びに繋がる)


カリムは穏やかに微笑みながら、


「私に逆らわぬと約束するなら」


リーンの瞳を食い入るように見つめ、そう囁いた。


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