身代わり王女に花嫁教育、始めます!
「どうした? 皮を剥く手が止まっているようだが」

「も、申し訳ありません」


彼女の手にあったのは淡いグリーンの実だ。水分が豊富で、薄皮を手で剥くと指までしっとりと濡れる。

リーンは言われるまま、剥いた実をカリムの口元に運んだ。

彼の唇が指先に触れ……。


「甘いな。せっかくだ。あなたにも味わってもらおう」


そういうとカリムも実をひとつ手に取り、皮を剥いてリーン口元に差し出す。


「あ、いえ、わたくしは」

「それは、王の御心を無下にするということか?」


そこを突かれたら、リーンには逆らえない。


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