Loose-leaf*放課後の甘いキス





♪~ 実行委員の人は、各係りごとの教室へ集合してください



「……!」




みんなの声で書き消されるような、小さな声だったけれど

私の耳には、一語一句届いて

ドクンッと心臓が跳ねる



……いか、なきゃ

分かってる

分かってる…のだけれども……




「おい」


「……!」


「何ぼーっと突っ立ってんだよ」




いつの間に現れたのか、目の前にはまたさっきと同じように

少し首を傾け、ポケットに手を突っ込んでいる一ノ瀬くんが立っていた。




「だ、だって……」




‘行きたくなんか、ないんです‘






勿論、そんな言い訳聞いてくれるはずがなく

あっけなく交わされる



「行くぞ」



その瞬間、一ノ瀬くんの細く綺麗な指が伸びてきたかとおもうと

私の腕を、つかんだ。



「……っっ!」




慌てる私を無視して、ずかずかと歩き出す。

触れられている左腕から全身に熱が伝わっているようで、体が熱い

どよっとした空気が流れると同時に、いくつかの声が教室に響く



み…、見られてる……っ




一ノ瀬くんとかかわってから、こんなことばっかりで

今までなかった感情が湧き出す



恥ずかしい……っ

もちろん

教室には、夏川くんもいるわけで……



ぱっと黒板に視線を移すと、そこには夏川くんが立っていた







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