Loose-leaf*放課後の甘いキス





「~~っ」


ムッと顔をしかめるけれど

そんなの、どうってことのないかのような、涼しい顔をして


頬杖をつきながら、余裕そうな笑みを浮かべた。



なに…これ…っ

わたし、べつに、にやけてなんかないもん。


…すごく嬉しかったけど……



ぷいっと顔を背けると


今度は、弧を描いて机に飛んできた、紙くず。



……、ぜったい、一ノ瀬くんじゃん…



そう思いながらも、

くしゃくしゃに丸まった、ノートの切れ端を


キョロキョロと、周りを確認して、広げた。



「……っ!」



‘‘ 王子サマ観察、続行中? ‘‘



お…お、

王子サマって………っ



‘くくっ‘と、笑い声が聞こえてきたら

おなかを押さえながら、声を殺して笑う彼。




‘‘観察なんて、してません。‘‘




紙くずの裏側に、小さな字でそう書いて

下から、そっと一ノ瀬くんの机に向かって投げる。


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