Loose-leaf*放課後の甘いキス



「では今から、順番にくじをひいてくださーい」


ヒューヒューッ と、よりいっそう活気が増す運動場の隅っこで

わたしは、ただ一人波にのれず、くじをもっているこの話を聞くことで、精一杯。


く、くじって…

あれ、だよね。



華舞踊のダンスは、男女2人一組で構成される。

もちろん、わたしにもペアの男の人ができるだけで…

その人とうまくやっていければ、それでいいのだけれど…、



みんな、派手な方ばかりだもんなぁ…;;


そう、もちろん、


文化祭応援団に、自ら立候補するような人たちは、一ノ瀬くんにも負けないくらい派手な男の子が多くて…

女の子たちの話題によくあがる有名な人が、たくさんいる


わたし、ここにいちゃいけないのに……



そんなことを考えながらも、とうとうまわってきた順番。

可愛らしい、ピンクの箱に手を入れる。

一番最初に触った紙をとって、そっと開く


「…、!!」


いきなり、黒い影が覆いかぶさったと思ったら

あっけなく、私の持っていた紙を取られてしまった。


「えっ…と、」


返して、ください…!!


そう言おうとしたら、
くしゃっと丸まった紙が、私の手の中へ。

む…
わざわざ、くしゃくしゃにしなくてもいいじゃない…

そして、一言もいわずに、何事もなかったように去って行く彼。

あっというまに、視界から遠のいてゆく…

心の中で反抗しながらも、結局言えない私は

小さくため息をついて、丸まった紙をのばすように手のひらに広げた。



ラッキーーーセブン‼︎‼︎

恋するあなたは、
好きな人とまさかのペア⁈⁉︎


黄色い紙に、ピンクのまるっこい文字で書いてあるくじは
少し目がチカチカするくらい、わたしとは違うんだってことを実感させられる。


7番、かぁ…
ほんとうに、ラッキーだといいのになぁ


ひろげたくじを、四つ折りにして
胸ポケットにしまう

そういえば…

一ノ瀬くんは、何番だったんだろう…


紙を返してくれた後、いつのまにかいなくなっていた一ノ瀬くんは

少し遠くの木下で、ペアであろう子と喋っていた。

…、やっぱり
ふつうの女の子には、ああいう顔、するんだ…
私に向ける笑顔は
ニヤッと口角をあげて、


まるで全てを見透かされているような…

黒い笑顔、なんだもん








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