折り鶴にのせて
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 授業の休み時間、それまで話をしていた友達が先生に呼ばれて行った。
暇になった私は特にすることもなかったので、目についたいらないプリントで折り鶴を折った。
完成した折り鶴の尻尾の部分を半分に裂いて、適当なところで折り曲げる。
よし、出来た。
中学の時に友達が作っていたのを見て覚えた足付きのツル。

「何これ、気持ちわるっ!!」
 いきなり背後から声が聞こえ後ろを振り向くと、クラスメートの菊地君がいた。
 菊地君は、私の作ったツルをみて大笑いしている。
「えっ、この謎の物体白井作?」
 げらげら笑いながら謎の物体扱いしたツルを手にとって私に訊ねる。
「謎の物体って…どう見たってツルじゃん!ちょっと余計な物付いてるけどさ」
 確かに折り鶴にカエルの様な折れ曲がったひょろ長い足があると気持ち悪い。けれど、思った以上のリアクションに少し戸惑う。
「鶴って色んな折り方あるけど、これ初めて見たわ」
 ようやく笑いがおさまってきた菊地君が言う。 そんなに色々折り方があったっけ?と考えていると、菊地君が説明してくれた。
「いや、羽のとこで1列にずらって4羽くらい引っ付いてるのとか、後ろの尻尾んとこ?がくっついてるのとか難しい折り方」
 手振りもつけてその難しいツルの説明をしてくれるが、いまいちイメージ出来なくて首をかしげる。
その様子を見て菊地君もいらないプリントを引っ張り出して折り始める。
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