太陽の竜と闇の青年

ジメジメとした空気の中、私たちはようやくミロスの門を見つけることができた。


しかしその門にはマントをきて、フードを深く被った人が一人突っ立っていた。


「あの……。入りたいんだけど、いいかな？」


私がハヤトから降りてその人にたずねると、その人はゆっくりと口を開いた。


「中心に塔が一本建ち、それがこの町の魂を支えている。真下にある町には陽が当たらず、漏れる雨に苛まれている。人々は疑わない。それが当たり前だったから」


その人はそれだけ言うと門を開けた。


私たちが横を通り過ぎるとき、その人は言った。


「シャーマンには気をつけた方がいい」


シャーマン……。


私にはそんなにヒドイ感じはないんだけどなぁ……。


「にしても、誰一人外を歩いていないな」


壱があたりを見回していうと、私たちはうなずいた。


「うん。何でこんなに人がいないんだろう……」


「なんか不気味だねー。あははは」


フウが笑ったとき悲痛な叫び声がきこえた。


「誰か！！誰かきてください！！助けてください！！」


耳の聞こえない私にはどこで誰が何を言っているのかさっぱり分からない。


だから、馬を歩かせているとフウに怒鳴られた。


「ルウ！！！！！何してんだバカ！！お前らしくないぞ！助けに行くんだろ！！」


私があわててうなずくと、フウは小さく舌打ちをして声の聞こえたほうにラッシュを走らせた。


私が慌ててハヤトを進めると、壱が眉をひそめた。


「俺のミスだな。俺がルウにきちんと事情をさっさと言えばよかったんだ」


私は頭を振った。


「そんなことない。全部私のせいだから。壱のせいなんてことはない」


そのとき私の体がグラリと傾いた。


「うひゃぁ！」


私は誰かに抱えあげられた。


「な、何！？」


私が驚いて声をあげていると、壱が陽から飛び降りて剣に手を差しだし、フウは驚いてこちらを向いていた。


私もかつぎ上げられたまま相手をみて目を見開いた。


久しぶりの匂いと雰囲気がする。


そして、フウと声をあわせた。


「「マラン！！！！！」」


私をかつぎ上げたのはドクター・マランだった。