太陽の竜と闇の青年
だけど少しひっかかる部分があった。


「でもフィンド。本で読んだジャリスはそんなにヒドイことをするイメージがまったくないよ?」


フィンドは鼻で笑った。


「貴様、ジャリスが人を恨んでいるとわからなかったのか?ジャリスは人に封印され、助けてやっというのに束縛された。そのうえ、ファジまでもが不治の病にかかり死んだ。ジャリスはずっと恨んでいたんだぞ。なぜファジを助けなかったのかってな。貴様は知らないかもしれないが、ファジは一度地獄門に来ていたんだ。ジャリスのことを最期まで気にしていたな。だが、ジャリスはそんなことしらない。ジャリスはファジのことを愛していたんだ!人間を恨むのは仕方ないだろう。だから、力の強い貴様の体を使ってこの世界をメチャクチャにする気だ。それか、初めのほうは手をださすにコツコツと計画を練って一気に殺すか……。どちらかは本人しかわからないだろう」


フィンドはため息をついて、あの赤い目で私を見据えた。


「貴様、同情などするなよ。した時点で貴様の負けだ。即この世から消えてなくなるぞ。それから……貴様ら人間には感じられないだろうが、鬼にはわかった。ジャリスの凛とした声の裏に隠れていた闇を。貴様らを殺す気満々だったぞ」


フィンドの低い声に私の背筋はゾワッとなった。
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