先輩へ… 16年後のラブレター
私の母が、先輩の話になるたびに「仕事は? まだ就職しないの?」としつこくなってきた。

楽しい話をしていても、必ず仕事は?となる。

母親としては、娘の彼氏が無職なのは許せないのはわかる。

私は、まだハタチだし、今は不景気で就職先なんてなかなか見つからないからゆっくりでいいと思っていたんだけれど…。

ある時、私はその疑問を先輩にぶつけてみた。

この先もずっと、家のお手伝いだけなのか。

家業の食堂は、先輩のお店ではなくて、先輩のお父さんのお店。

私との将来を考えているなら、バイトとか、普通に就職とか、何かしないの?

私と先輩がはじめてしたケンカだった。

二人でケンカしたというより、私が一方的に不満をぶつけた。

好きだからこそ、言った言葉だった。
< 36 / 84 >

この作品をシェア

pagetop