先輩へ… 16年後のラブレター
「あのね、今でも…、大好きです。」


優しい眼差しの水野先輩の顔を見ていたら、気持ちが抑えられなくなった。

本当に、言うつもりのなかった本音をうっかり言ってしまった。


先輩は、

「今それ言っちゃダメだって。」

って。

でも、微笑んでくれた。


「あっ!! ごめんなさい!! つい…。

言っちゃっただけだから、気にしないで!!」


私は先輩の家庭を壊すために来たんじゃない。

先輩が元気にやっていることを願って、ここに来た。

幸せそうで、安心した。

今、一緒に話したこの時間は、お互い16年前に戻っていたと思う。


別れてから数年の間は、私のことを想っていてくれた。

うれしい…。

もう、充分……。

そろそろ帰らなくちゃ。

先輩の奥さんとお子さんにも申し訳ない。
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