誘惑のクラン(血族)
「私の言い分は以上でございます。どうかお好きなように御処分を……」


優真を裏切った八条は心を決めて言った。


「……処分はない。お前の言い分はもっともだからな。……私は香織を選ぶつもりだ」


昔の情にほだされれば、自分の身が危うくなるだけ。


優真は香織を妻にすると心に決めた。


くだらない昔の恋など、今の私には関係ない。


彼女など放っておけばいいんだ。


「香織を呼べ」


八条の命令する声は氷のように冷たく響いた。


「かしこまりました」


八条は来た時と同じように、足音も立てずに出て行った。


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