誘惑のクラン(血族)
「彼女から離れるんだ」


優真だった。


彰は悪さをしていた所を見つかった生徒のように、ばつの悪い顔を優真に見せ、璃子から離れた。


強い力で拘束していた腕が無くなったが、身じろぎもしないで璃子は立っている。


まるで凍りついた人間のように微動だしない。


優真は彰の脇を通り、地面に落ちているブラウスを拾うと璃子に近づく。


露わな膨らみにそれまでの無表情な優真は崩れ去り、苦悩の表情を浮かべた。


可哀想に……。


優真は肩にブラウスをかけてやろうとした時、璃子の顔を見て息を呑んだ。


「璃子ちゃん……!」


璃子の瞳が赤く染まっていたのだ。



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