誘惑のクラン(血族)

恋人

目の前にいる優真のことなど、まるでいないかのようにうつろな赤い瞳。


璃子はその赤く染まった瞳で、おもむろに自分の腕を目の前にあげて見る。


彰に傷つけられた腕から血が流れていた。


「血……」


璃子はゆっくりと血を指で絡め取ると、自分の血が付いた指を口に持って行く。


指を口の中に入れ、舐めしゃぶるように吸う。


優真はその姿を悲痛な眼差しで見つめていた。


覚醒が始まった……。


「璃子ちゃん」


こんなに早くに覚醒してしまうとは……。


これからどのくらいかかるのかわからない。可哀想に……。



< 137 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop