誘惑のクラン(血族)
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その頃、優真の祖父である長が最後通告を出している所だった。


「どうしてもその娘を助けると言うのだな」


「はい」


優真の決心は変わらない。


「よかろう……残念だが、お前の気持ちは変わらないようだ」


長はソファからゆっくり立ち上がった。


表情に現さないせいか、がっかりした様子はない。


皺のある顔でじっと優真を見つめるだけだ。


「申し訳ございません」


優真が頭を下げ静かに謝ると、長は音もなく出て行った。


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