誘惑のクラン(血族)
璃子の身体をずらし、自分の膝の上に頭がくるようにした。


この体勢を最初からすればいいのだが、恥ずかしがり屋の彼女は眠れなくなるだろう。


ふわっと柔らかい髪をゆっくり撫でると優真は自分の心が落ち着く気がした。


しかし、彼女は相当疲れているように見える。


身体と心の中の変化について行くのが精一杯なのだろう。


「尚哉に璃子ちゃんを守ってもらう必要はない」


「そう言うのなら、それで結構。長はなんと言っていたんだ?」


「口ではわかったように言っていたが、違うだろう……」


「俺はとことん長に嫌われているな。同じ孫だと言うのに。まあ仕方がない。邪魔者は消えるとしよう」


尚哉は肩をすくめて笑うと、立ち上がった。


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