誘惑のクラン(血族)
自分がどんな風になるのか……優真のそばを離れると不安にかられる。


花から視線を逸らすと、見覚えのある男が個室のドアに寄りかかるように立っておりギクッと肩を震わせた。


宝石のようなグリーンの瞳が冷たく璃子を見つめていた。


「あなたは……」


私を襲った男と一緒に別荘に来たヴァンパイア?


「やっとひとりになりましたね」


崇は待ちかねていたようにのんびり言う。


璃子は突然現れた崇に身構える。


自分を殺しに来たヴァンパイアなのか。


「優真様は来ませんよ。いや、気づかないのでしょう。まさか、ヴァンパイアにとって苦痛でしかない香草を身に纏っているとは思いもよらないはず」


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