誘惑のクラン(血族)
せっかくだからと、隣接している観光牧場を一時間ほど歩き回った。


ヤギのエサやりや、小さな子がポニーに乗っているのを眺めてふたりは牧場を楽しんだ。


「そろそろ行こうか。ホテルに温泉もあるし、エステも付いているからゆっくりしたいし」


璃子の祖父が封筒に入った宿泊チケットをくれたのは一昨日のことで、知り合いからもらったから友達と行っておいでと言ってくれた。


夏休み中、ファミレスのバイトばかりだった璃子は飛び上らんばかりに喜んだ。


大学の友人、美菜を誘うと、早速旅行に出たのだ。


「ガソリンがあと少ししかないからスタンド寄ってから行こう。田舎だとスタンド見つけるのが大変だから」


車に戻った美菜はガソリンメーターを見て顔を顰めた。




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