好きだと言えなくて
「はぁ・・・疲れた・・・」
文化祭も終わりに近づき、後は後夜祭だけとなった頃・・・
「あの・・・田中春乃ちゃん?」
誰かに名前を呼ばれて振り向くと、そこにはあの子が立っていた。
あ・・・俊ちゃんの彼女・・・
隣の駅にある高校の制服を着ていた彼女は、今日も綺麗だった。
どうしたんだろ・・・俊ちゃんいないのに・・・
「はい・・・そうですけど・・・」
あたしがそう答えると、彼女は、
「ちょっと来て!」
と言って、あたしの腕を掴み、何も言わずに早足で歩いて行く。
背の高い彼女が早足で歩くと、自然とあたしは走らないといけなくなる。
「あの・・・どこに行くの?ねぇ!」
そう聞いたあたしに、いいからいいからと言った彼女は、とうとうあたしを学校から連れ出してしまった。