正しい殺人事件
「あんたに対する情なんか、あっても嫌悪くらいだ」

「私は、同情ー」

「ぼくだって、奈々ちゃんの愛情だけで十分だから」
へへん、と少女は胸を張る。

「キモいわー。」
「奈々ちゃんも、あんたのこと嫌いって前に言ってたけど?」

「奈々ちゃんのは、愛情の裏返しだから、いいのさ」


「おい!こいつは誰だ?!」
下から、聞こえる声。

状況を把握できていない少年が、たまらず声をあげた。

律儀にも、台詞が切れるのをまっていたらしい。

後ろに置いてけぼりになっている、女先輩もわざわざ付き合ってくれているようだ。
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