檸檬の変革
ネットリした湿気、容赦なく照りつける太陽。
日本とは全く違う暑さにクラクラした。


マリアはさっきとは違う真剣な顔で僕の腕を掴み近くの椅子に僕を座らせて手首に指を置き、腕時計で脈を計り始めた。
病院で見慣れた行為だった。

脈はしっかりしていたらしく、マリアは安心してニッコリ笑い僕を見た。

『看護士なの?』

僕が手慣れた手つきを見てマリアに聞いた。

マリアは僕の隣に座り答えた。
『違う。医者よ。大学病院では院生だけど。夏樹のお父さんには言い忘れたけど、私アメリカの学校で飛び級して、アメリカで医師免許取得してるの。』


僕は改めてマリアを見た。どう見ても二十歳そこそこにしか見えないし、才女には見えない。
(マリアには悪いけれど。)


マリアは僕の考えを見透かした様にニヤリと笑い言った。
『能有る鷹は爪を隠すのよ。』


僕は思わず言った。
『ごめんなさい。』


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