LOST ANGEL
キッチンに女性が2人立ってい
た。
そのうちのひとりがオレに笑いかける。
「相原…?」
「久しぶりだね!」
相原由紀。
高校時代の同級生で、数少ないオレの交際相手のひとり。
いわゆる元カノというやつだ。
「…なんでここに?」
「会社の先輩がね、お兄さんとお友達だったの。で、連れてきてもらっちゃった」
その先輩らしき人がこっちを向いて微笑みかけてくる。
真っ赤な口紅に鳥肌が立った。
「いや〜、オレも驚いたよ。こんな可愛い娘が慧斗の女だったなんて」
ソファーに寄り掛かりながら兄貴がオレ等を見ている。
「も〜。お兄さん口が上手すぎですよ」
そう言って笑う相原は昔と印象が変わっていた。
学級委員だった相原はショートカットでバレー部のスポーツ少女という真面目なイメージが強かっ
た。
それが今は肩まである明るい髪を巻いて、化粧もバッチリ決めてあり、胸元が大きくあいたセクシー系のピンクのワンピースを着こなしいる。
「相原…、なんか雰囲気変わったな…」
そんな言葉しか浮かんでこない。
「慧斗くんはちっともかわらないね」
「だろ。そいつはいつまでもお子様なの」
兄貴みたいになるよりいいよ!