LOST ANGEL

キッチンに女性が2人立ってい
た。

そのうちのひとりがオレに笑いかける。

「相原…?」

「久しぶりだね!」

相原由紀。

高校時代の同級生で、数少ないオレの交際相手のひとり。

いわゆる元カノというやつだ。

「…なんでここに?」

「会社の先輩がね、お兄さんとお友達だったの。で、連れてきてもらっちゃった」

その先輩らしき人がこっちを向いて微笑みかけてくる。

真っ赤な口紅に鳥肌が立った。

「いや〜、オレも驚いたよ。こんな可愛い娘が慧斗の女だったなんて」

ソファーに寄り掛かりながら兄貴がオレ等を見ている。

「も〜。お兄さん口が上手すぎですよ」

そう言って笑う相原は昔と印象が変わっていた。

学級委員だった相原はショートカットでバレー部のスポーツ少女という真面目なイメージが強かっ
た。

それが今は肩まである明るい髪を巻いて、化粧もバッチリ決めてあり、胸元が大きくあいたセクシー系のピンクのワンピースを着こなしいる。

「相原…、なんか雰囲気変わったな…」

そんな言葉しか浮かんでこない。

「慧斗くんはちっともかわらないね」

「だろ。そいつはいつまでもお子様なの」

兄貴みたいになるよりいいよ!

< 64 / 89 >

この作品をシェア

pagetop